「ロゼッタのお父様? って、クロフォード伯爵のこと?」


 セリーナがクローヴィスに確認する。クローヴィスがうなずくと、ロゼッタの表情が暗くなった。


「ロゼッタ嬢のことをすごく心配していてね。元気にしているか尋ねられたんだけど」

「――わたくしには父親などおりません」


 クローヴィスの言葉をロゼッタが遮る。クローヴィスは薄っすらと口角を上げた。


「君ならそう言うと思ったよ」

「え、どうして? ……ねえ、ちょっと! お兄様はいったい何をご存知だというの?」


 したり顔のクローヴィスを睨みながら、セリーナが唇を尖らせる。ロゼッタはそっと俯いた。