「ロゼッタがあまりにも面白いことを言うから……」

「ひどいですわ。面白いことなど一つもございませんのに」


 ムッと唇を尖らせるロゼッタに、クローヴィスはそっと目を細めた。


「なるほどね。妹をそんなふうに思ってもらえるなんて、兄としてとても嬉しいな」

「わたくしだけでなく、侍女のみなが同じ思いだと思いますわ。わたくしたちの個性を尊重し、ときに自由に、ときに必要な指導や助言をしてくださいますので、本当に感服しておりますもの」


 実際問題、ロゼッタはセリーナを尊敬している。ロゼッタの本性を知ってもなお彼女を受け入れ、重用してくれているのだから、いい雇用主だと言わざるを得ない。


「ロゼッタったら……」


 セリーナが恥ずかしそうに頬を染める。先程の言葉がロゼッタの本心だと伝わったらしい。ロゼッタはフフ、と目を細めた。