「だけど、いったいどんな心境の変化があったんだ?」


 と、クローヴィスが笑う。いつものように脳天気な笑顔だ。
 けれど、視線だけはどこか鋭く、ロゼッタは思わず身構えてしまう。


「それは……わたくしももう十七歳ですから。いつまでも子どものままではいけないと思ったのですわ」

「なるほど、それはよかった。誰か――俺以外の男に影響されたのではないかとヒヤヒヤしていたんだ」


 そう言って目を細めるクローヴィスにロゼッタは目を見開く。それから彼女はセリーナに目配せをした。


(殿下ったら、なにかクローヴィス殿下に吹き込んだのかしら?)


 けれど、セリーナは『わたくしじゃない』と首を横に振る。
 だとしたら、なかなかの鋭さだ。相手はやはり王族。侮れない、とロゼッタは気を引き締める。


「まあでも、俺はありのままの君が好きだよ。もちろん、今日の君も本当に素敵だけどね」

「そ、れは……ありがとうございます」


 ド直球に好意を告げられ、さすがのロゼッタもたじろいでしまう。やはり手強いと思いつつ、ロゼッタは微笑んだ。