「クローヴィス殿下、この度はお食事に誘っていただき、ありがとうございます」


 ロゼッタがそう言うと、クローヴィスは満足気に目を細める。


「お礼を言うのはこちらのほうだ。ようやく君と食事をするという念願がかなって嬉しく思うよ」

「まあ、念願だなんて……おそれおおいことですわ」


 クローヴィスにエスコートをされながら、ロゼッタの胸が少しだけうずく。


(ようやく、ね)


 王族からの誘いを断り続けていたことに対する嫌味とも受け取れる言葉だが、クローヴィスの性格からして違うだろう。……いや、そう思いたい。ロゼッタはニコリと微笑んだ。


「それにしても、今日はいつもと雰囲気が違うのだな?」


 クローヴィスが問いかける。ロゼッタは「そう思います?」と手を合わせた。