「わたくしったら……こういうところをなおさなければいけませんのに」

「なるほどねぇ。それで外側から整えようとしているってわけか。まあ、いいんじゃない? わたくし的にはロゼッタにはやっぱりピンクが似合うと思うけど。そのために、わざわざ髪まで染めてるんでしょう?」


 そう言ってセリーナはロゼッタの髪にそっと触れる。ロゼッタは思わず目を丸くした。


「まあ……! 気づいていらっしゃいましたの?」

「当然。元の髪の色は金色かしら? それも似合うとは思うけど」


 ドヤ顔で笑うセリーナに、ロゼッタは観念したように両手をあげた。


「さすがは殿下。素晴らしい慧眼です。本当に驚きましたわ」

「まあ、王族だし、それが仕事みたいなものですから? ねえ、悩みがあるならわたくしが聞いてあげるわよ。色恋沙汰って、わたくしには縁遠い――絶対経験できないことでしょう? ロゼッタの話を聞いたら、まるで自分が恋愛しているみたいに思えて楽しいのよね」


 セリーナはうっとりとした表情で微笑みつつ、ロゼッタをじっと見つめる。


「……残念ながら、わたくしが恋をしている相手はお金ですわ。殿下が望むお話はできないかと……」

「そうだろうけど! それでも、自由に相手を選ぶことができるのって羨ましいのよね」