「わたくしが? 自分でお金儲けを?」

「そう。だって、これだけお金への熱意に溢れているんだもの。自分で事業を起こしたら、それこそ死にものぐるいで勉強をするだろうし、真剣に取り組むだろうと思うのよ。それを男性を捕まえるためだけに使うなんて、なんだかもったいない気がして」


 セリーナの言葉に、ロゼッタはふふっと小さく笑う。


「殿下ったら、わたくしは豪華絢爛、悠々自適な生活を送りたいのです。あくせく働きたいわけではございませんのよ? ですから、努力の方向性を変えるだなんて、とてもとても……」


 そう返事をしつつ、ロゼッタの心が少しだけ揺れる。もしもロゼッタ自身が金儲けに走ったら、いったいどんな結果が得られるだろう――なんて、絶対にありえないとロゼッタは首を横に振る。


「それにしても、ここに書いてある内容はなんだかロゼッタらしくないわね。トレードマークのピンクを捨てるなんて、いったいどんな心境の変化?」


 セリーナがそっと首を傾げる。


「それは……」


 返事をしようと口を開くと、ウィルバートの茶目っ気たっぷりな笑顔が思い浮かぶ。