「まあ、殿下。お呼びでしたか? すぐに気づかず申し訳ございません」

「別にいいけど、暇だから話し相手になってほしかっただけだし。それにしてもすごい集中力ね。一体なにを書いていたの?」


 セリーナはそう言って、ロゼッタの手元を覗き込む。それから、すぐに苦笑いを浮かべた。


「相変わらず研究熱心ね。そんなに可愛いのに、まだ磨き足りないの?」

「殿下ったら、美貌だけでは男性の心を射止めることはできませんのよ? とびきりの幸せを得たければ、それに見合う努力をしませんと」

「……わたくし思うのだけど、ロゼッタのその努力、男性の心を射止めるためじゃなく、金儲けのために使ったほうがよほどいいのではないかしら?」


 真面目な表情でつぶやくセリーナに、ロゼッタはきょとんと目を丸くする。