(とはいえ、ウィルバート様の心はがっつりと繋ぎ止めておきたい)


 しかし、ウィルバートを自身の相手に決めたわけではないこの状況で、そんなリスクをおかしてもいいのだろうか?
 そもそも、ウィルバートからそういうことを求められたとしたら?


(どうしましょう?)


 これだけよくしてもらっておきながら『家に行くのは嫌です』なんて、虫が良すぎるだろう。世の中はギブアンドテイクでできている。男性がロゼッタに優しくしてくれるのは、その美しさに惹かれているから。……そして、下心があるためだ。自分は散々利用するくせに、利用されるのは嫌だなんてありえない。ロゼッタ自身、そう思ってはいるのだが。


「……ごめんね。ちょっと意地悪を言ってみた」

「え?」


 ウィルバートはそう言って、ロゼッタの額に口づける。思わぬことに、ロゼッタはほんのりと目を見開いた。