(本当に、ウィルバート様は素敵すぎるお方だわ!)


 スマートでカッコよく、大人の魅力に満ちており、なによりめちゃくちゃ気前がよい。ロゼッタの理想を体現したような男性だ。


(もう、彼に決めてしまおうかしら)


 一瞬そんな考えがよぎるが、彼女の周りにはウィルバートに引けを取らない金持ちかつ素敵な男性が溢れている。現段階で彼に狙いを定めてしまうのはあまりにも危険だ。きちんと見定めなければ、とロゼッタは気合を入れる。


 ウィルバートはその後もロゼッタをいろんなところに連れて行ってくれた。ロイヤルボックスで芝居を見てから出演者に会わせてくれたり、レストランを貸し切りにしてくれたり、ジュエリーショップにカフェ、ロゼッタが喜びそうなところへ案内してくれる。しかも、どこへ行っても王族がお忍びで街歩きをするかのような好待遇だ。

 加えて、彼との会話はウィットに富んでいて、ロゼッタは終始退屈をしない。


「ウィルバート様は女性の好きなものにお詳しいのですね」

「そうでもないよ。俺はむしろロゼッタ嬢に感心してるんだ。経済のこととか、俺の事業のこととか、本当によく勉強しているよね」


 ウィルバートに頭を撫でられ、ロゼッタはまんざらでもない表情を浮かべる。
 金持ちとの会話についていけるよう、日々情報収集を欠かさず行っているのだ。努力を認めてもらえたようで嬉しくなってしまう。