(最高級ブランド時計トゥーベックの懐中時計に、馬車はフェルードゥ車の最新モデル。お召し物はフォルティガのセットアップ)


 他にもスカーフやブローチ、靴に至るまで、すべてが最高級の品。これだけで家がゆうに数棟建つ計算だ。


「ウィルバート様が素敵すぎて、一刻も早くお会いしたかっただけですわ!」


 それはまごうことなきロゼッタの本音。ウィルバートは彼女にとって、あまりにも魅力的な男性だ。


「ありがとう。それじゃあ、行こうか」

「ええ」


 ロゼッタはウィルバートにエスコートをされ、彼の馬車へと乗り込んだ。


「本日は誘ってくださってありがとうございます。わたくし、本当に楽しみにしておりましたの」


 ウィルバートとはあれから、定期的に手紙でやりとりをしていた。彼は他のターゲットと違って城を訪れることがないので、偶然に会うということはまず期待できない。ウィルバートからデートの誘いが来たときは本当に嬉しく、ついついガッツポーズを浮かべたものだ。