「いいのですか?」

「もちろん。今夜はすごく楽しかった。君がもし、こんなおじさんでもいいと言ってくれるなら、ぜひ」

「もちろんですわ!」


 身を乗り出すロゼッタに、トゥバルトが目を細める。


「よろしくな、ロゼッタ嬢」


 彼に差し出された手のひらを握り返しつつ、ロゼッタが笑う。

 これで彼女が狙っていた金持ちの男性たちの多くとつながることができた。これからは新しく男性と知り合うことより、彼らと親しくなることに重きを置くべきだろう。


「よろしくお願いいたしますね、トゥバルト様」


 返事をしながら、ロゼッタは反対の手で、密かに拳を握るのだった。