「初婚の女性では上手くいかない――ならばと、連れ子のいる女性との再婚も考えたんだ。けれど、自分がお腹を痛めた子供と他人の子では、どうしたって自分の子を優先するだろう。だから、どうしても踏み切れなくて」


 トゥヴァルトの言葉にロゼッタは目を丸くする。彼女はゴクリとつばを飲み、しばらく目を泳がせてから、自身の胸に手を当てた。


「――――子連れ同士の再婚は絶対にやめたほうがいいですわ」


 ロゼッタが言う。それまでの明るい口調からは信じられないほどの冷たい声音だ。しまったと思いつつも、ロゼッタは笑顔を取り繕うことができない。彼女は眉間にシワを寄せつつ、トゥバルトから顔をそらした。


「トゥバルト様のご懸念のとおりです。子連れ同士の結婚では、誰も幸せになれませんもの。トゥバルト様も、お相手の女性も、それぞれの子供も。……上手くいきっこありません。絶対にオススメしませんわ」


 言いながら、ロゼッタは己の腕に爪を立てる。一瞬でも気を抜いたら感情が溢れ出してしまいそうだった。


「そうか」


 と、トゥバルトが返事をする。彼はロゼッタの頭をポンと優しく撫でた。


「ありがとう。君のおかげで自分がどうしたいか……少しだけ気持ちの整理ができたよ」