(なんなのでしょう、この感覚は)


 これまで感じたことのない浮遊感。ライノアと一緒にいると、ソワソワとして落ち着かない。あまり接したことのないタイプだからだろうか? どんなふうに接するのが正解かわからないのだ。


「――ロゼッタ嬢はどうして、そんなにもお金にこだわるのですか?」

「え?」


 ライノアからの問いかけに、ロゼッタは思わず目を丸くする。


「着るに困らず、雨風のしのげる家で眠ることができ、お腹を空かせることもない――それだけでも十分幸せなことだと思います。もちろん、数着に一着贅沢なドレスを持つとか、機能性のいい部屋に住むとか、たまの贅沢で高価な料理を食べること自体は否定しませんけど」

「綺麗事ね」


 自分でも驚くほどの冷たい声。ロゼッタはキッとライノアを見つめた。


「衣食住に困らなければそれでいい? なにを愚かなことを。全部揃っていたほうがいいに決まっているじゃありませんか! そんなの、欲しくても持つことができないものの負け惜しみですわ」

「……ロゼッタ嬢?」


 身体が燃えるように熱い。苦しい。ロゼッタの瞳から知らず涙がこぼれ落ちる。