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「さっきはありがとう」
帰りの馬車に揺られつつ、ロゼッタはライノアにお礼を言う。
行きは乗り合いの馬車を利用したのだが、公爵夫人のはからいにより、同じ方向であるライノアとともに送ってもらえることになったのだ。
「――なにがですか?」
「わたくしのこと。皆様に言わないでいてくださったでしょう?」
「ああ」
ライノアは無表情のまま返事をする。それからロゼッタのほうをちらりと見た。
「そのぐらい、当たり前です。女性に恥をかかせるなんて男のすることじゃありませんよ」
「そ……そう?」
ロゼッタは思わずドキリとする。
(わたくしはライノア様のこと『ただの文官』だって皆様に伝えようとしたのに)
どうやらライノアという男は大層な人格者らしい。なんだか自分が恥ずかしくなる。
動揺を悟られぬよう、ロゼッタはライノアからそっと視線をそらした。
「さっきはありがとう」
帰りの馬車に揺られつつ、ロゼッタはライノアにお礼を言う。
行きは乗り合いの馬車を利用したのだが、公爵夫人のはからいにより、同じ方向であるライノアとともに送ってもらえることになったのだ。
「――なにがですか?」
「わたくしのこと。皆様に言わないでいてくださったでしょう?」
「ああ」
ライノアは無表情のまま返事をする。それからロゼッタのほうをちらりと見た。
「そのぐらい、当たり前です。女性に恥をかかせるなんて男のすることじゃありませんよ」
「そ……そう?」
ロゼッタは思わずドキリとする。
(わたくしはライノア様のこと『ただの文官』だって皆様に伝えようとしたのに)
どうやらライノアという男は大層な人格者らしい。なんだか自分が恥ずかしくなる。
動揺を悟られぬよう、ロゼッタはライノアからそっと視線をそらした。



