(それにしても珍しいな)
と、ライノアがほんのりと首を傾げる。マルクルと一緒に夜会に出席すると、こうして女性に声をかけられることは割とある。けれどそれは、キーガン家の話をしたいから、というより、ライノアの美貌に惹かれた結果だ。
女性たちが声をかけるのも、話をしたがるのも見目麗しいライノアばかり。彼の冷めた反応に女性陣がくじけかけたところでマルクルが話術を繰り広げる、というのがお決まりの流れとなっている。
だというのに、目の前の女性――ロゼッタはライノアにはまったく興味がないらしい。彼には一切目もくれず、マルクルとばかり話している。
「セリーナ殿下の元で働いている、というのは?」
「わたくし、殿下の侍女をしておりますの。こちらのクロエは文官でして……」
「だったら、ライノアと同じだ。こいつ、文官だから」
「まあそうですの」
と、ロゼッタは抑揚なく返事をした。
(本当に、まったく興味がないんだな)
というより、ロゼッタは一層ライノアへの関心をなくした様子だった。いったいなぜだろう? とライノアはマルクルと顔を見合わせる。女性からこんな態度をとられるのは生まれてはじめての経験だ。だからどう、ということはないが、なんとなく釈然としない。
と、ライノアがほんのりと首を傾げる。マルクルと一緒に夜会に出席すると、こうして女性に声をかけられることは割とある。けれどそれは、キーガン家の話をしたいから、というより、ライノアの美貌に惹かれた結果だ。
女性たちが声をかけるのも、話をしたがるのも見目麗しいライノアばかり。彼の冷めた反応に女性陣がくじけかけたところでマルクルが話術を繰り広げる、というのがお決まりの流れとなっている。
だというのに、目の前の女性――ロゼッタはライノアにはまったく興味がないらしい。彼には一切目もくれず、マルクルとばかり話している。
「セリーナ殿下の元で働いている、というのは?」
「わたくし、殿下の侍女をしておりますの。こちらのクロエは文官でして……」
「だったら、ライノアと同じだ。こいつ、文官だから」
「まあそうですの」
と、ロゼッタは抑揚なく返事をした。
(本当に、まったく興味がないんだな)
というより、ロゼッタは一層ライノアへの関心をなくした様子だった。いったいなぜだろう? とライノアはマルクルと顔を見合わせる。女性からこんな態度をとられるのは生まれてはじめての経験だ。だからどう、ということはないが、なんとなく釈然としない。



