婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

「第一、こんな金の亡者に王子妃は務まりませんわよ。リアル傾国の美女になってしまいますわ」

「それはそう。あなたが本気で望み通りの生活をしたら、国が滅んでしまいそうだわ……」


 セリーナが真剣な表情で肯定する。ロゼッタはほんの少しだけ傷ついてしまった。


「でも、わたくしはお兄様に幸せになってほしいのだもの」

「セリーナ殿下……」


 クローヴィスに幸せになってほしい――そう願いながらも、セリーナはロゼッタの気持ちを優先して彼女を助けてくれている。ロゼッタの胸がほんのりと温かくなった。


「だからね、あなたのその偏りまくった価値観をちょーーーーっと見直してくれたらいいなぁってわたくし思うのだけど」

「それは無理なご相談です。いつかクローヴィス殿下に素敵な人が現れるといいですね」

「――さすが、ぶれないわね」


 小さく舌打ちをするセリーナを前に、ロゼッタたちは顔を見合わせて笑うのだった。