「こ、これは……!」


 つい最近、オークションで高値がついたと話題になっていた宝石と同じものだ。売れば大きな屋敷が数件建つほどの代物で、ロゼッタの目玉がキラキラしてしまう。


「観賞用にしてもいいし、装身具として身につけるのもいい。それから、お金に困ったら換金してくれても構わない。ロゼッタ嬢の自由に使ってくれたら俺は嬉しい」

「トゥバルト様、これほどの価値がある宝石を餞別とするのはさすがに……」


 そう口にしたのはライノアだった。実家が宝石を取り扱っているため、彼にもすぐに換価価値がわかったらしい。