「大体、あなたがわたくしに言ったのでしょう? 世の中にはお金よりも大切なものがあるって」


 ロゼッタはそう言ってじっとライノアを見上げる。ライノアは「言いましたけど」と小さく笑った。


「ロゼッタ嬢からそんな言葉を聞く日が来るとは思いませんでした」

「でしょうね! わたくしが一番そう思っているもの!」


 ロゼッタがムッと唇を尖らせる。ライノアはロゼッタを強く抱きしめ直した。


「――ねえ、わたくしも連れて行ってよ」

「え?」


 ライノアがきょとんと目を丸くする。ロゼッタはキッとライノアを見上げた。