「突然どうされたんですか?」

「どうしたもこうしたもないわ! クロエからあなたが留学するって聞いたのよ」

「――ああ、そのことですか」


 ライノアはそう言うと、静かに目を伏せた。


「ご報告が遅れて申し訳ございません。来週から隣国への留学が決まりまして」

「本当に遅すぎるのよ! どうしてわたくしに言ってくれなかったの?」

「何分急な話でしたし……」


 ライノアはそう言って、まじまじとロゼッタを見つめる。それからためらいがちにロゼッタの手を握った。


「会えば決心が鈍りそうだったんです」