「けれど、ロゼッタ嬢は今回、ひとりでもあの女に立ち向かえていましたし」

「わたくしはタフだけど、一人でなんでもこなせるほど強くないとおっしゃったのはあなたでしょう? 確かに、今夜のわたくしはアバルディアから逃げませんでした。だけどそれは、あなたのあの言葉があったからこそなのですわ。それに、きっと来てくださると思っていましたし」


 ロゼッタはライノアとクローヴィス、トゥバルトに向き直ると、深々と頭を下げる。


「皆様のおかげで、わたくしはひとりではないと思えました。本当に、ありがとうございます」


 三人は顔を見合わせつつ、目を細めてロゼッタを見つめた。
 とても長かったロゼッタの夜が明ける。
 ロゼッタはグッと拳を握り、前を向くのだった。