「わかったら、金輪際ロゼッタ嬢に関わるのはやめるように――いいね」

「はっ、はい」


 アバルディアは義妹を連れて、急いでその場から駆けていく。そのとき、ロゼッタはそれまで空気のように押し黙っていた父親と目があった。


「ロゼッタ……」

「謝罪の言葉なら聞きたくありませんわ。言って、あなたが楽になりたいだけでしょう?」


 ロゼッタはそう言って、ニコリと微笑む。父親は「そうだな」とつぶやくと、すごすごとアバルディアのもとへと戻っていった。


「――勝手に話に割って入ってすみません」


 と、ライノアが口にする。ロゼッタはきょとんと目を丸くすると、クスクスと笑い声をあげた。


「謝る必要なんてないでしょう? 助けてくれてありがとうございます。おかげで心がスカッとしましたわ」


 ロゼッタはそう言って満面の笑みを浮かべる。ライノアはバツの悪そうな顔をした。