「だって、照れくさかったんだもの。ずっと一緒に婚活をしてきたでしょう? それなのに、こんな形で私だけお金持ちじゃない人との結婚を決めてしまったし……」

「そんなことは別に構わないわ! わたくしはクロエが幸せになれることのほうが大事だもの!」

「ロゼッタ……変わったね」


 クロエはそう言って、瞳を潤ませながら目を細める。ロゼッタはウッと言葉を詰まらせつつ、静かにクロエを抱きしめた。


「ライノア様は?」

「きっぱり振られた。だけど、そうなるってわかっていたし、完全に吹っ切れてるから大丈夫」


 クロエはそう言ってとても穏やかに目を細める。ロゼッタはキュッと唇を引き結んだ。