「わたくしは自分自身がとびきり幸せになりたいので、別の誰かを幸せにしてあげられるほどの余裕はないのですわ! わたくし、とっても自己中心的なんです。トゥバルト様に近づいたのだって、お金のためでしたし」

「それは……」


 トゥバルトは「構わない」と言いかけてから、困ったように笑う。


「わかったよ。それでも……本当は、俺が君を幸せにしたかった」


 トゥバルトの返事を聞き、ロゼッタはそっと目を細める。


「ありがとうございます、トゥバルト様」


 幼い子供のような屈託のない笑みをロゼッタが浮かべると、トゥバルトは穏やかに目を細めるのだった。