「嫌なんです。トゥバルト様がわたくしを大事にすることが」
「え? けれど……」
「トゥバルト様がフローリア様をどれだけ愛しているか、わたくしは知っています。けれど、違うんです。それじゃダメなんですよ」
言いながら、ロゼッタは目頭が熱くなってきた。胸がズキズキと痛み、苦しさが込み上げてくる。
それは今、このときに感じている痛みではなく、もっと以前の――幼い日のロゼッタが抱えていた痛みと苦しみだった。
「トゥバルト様は優しい人だから、結婚をしたらきっとフローリア様のことも、わたくしのことも、大事にしてくださると思います。けれど、わたくしはそれじゃ嫌なんです。フローリア様はきっと、新しい母親を必要としているわけじゃありません。トゥバルト様が側にいてくれたら――フローリア様だけを大事にしてくれたほうが、ずっとずっと嬉しいはずです」
トゥバルトはフローリアのために、母親になれる女性を探している。ロゼッタははじめ、彼のその想いを利用しようと考えていた。トゥバルトからの愛情を求めない自分は適任だから。お金さえ出してくれればそれでいいから、と。
けれど、それでは誰も本当の意味で幸せになれない。
ロゼッタは顔を上げ、まっすぐにトゥバルトを見つめた。
「え? けれど……」
「トゥバルト様がフローリア様をどれだけ愛しているか、わたくしは知っています。けれど、違うんです。それじゃダメなんですよ」
言いながら、ロゼッタは目頭が熱くなってきた。胸がズキズキと痛み、苦しさが込み上げてくる。
それは今、このときに感じている痛みではなく、もっと以前の――幼い日のロゼッタが抱えていた痛みと苦しみだった。
「トゥバルト様は優しい人だから、結婚をしたらきっとフローリア様のことも、わたくしのことも、大事にしてくださると思います。けれど、わたくしはそれじゃ嫌なんです。フローリア様はきっと、新しい母親を必要としているわけじゃありません。トゥバルト様が側にいてくれたら――フローリア様だけを大事にしてくれたほうが、ずっとずっと嬉しいはずです」
トゥバルトはフローリアのために、母親になれる女性を探している。ロゼッタははじめ、彼のその想いを利用しようと考えていた。トゥバルトからの愛情を求めない自分は適任だから。お金さえ出してくれればそれでいいから、と。
けれど、それでは誰も本当の意味で幸せになれない。
ロゼッタは顔を上げ、まっすぐにトゥバルトを見つめた。



