ロゼッタの父親はアバルディアとの結婚後も、ロゼッタを自分のもとに置き続けた。実の娘が目の前で冷遇されているというのに、だ。本当にロゼッタを想っていたなら、すぐにでもロゼッタの母方の両親へ預けるべきだっただろう。けれど、自分が寂しいからと、ロゼッタを手放さなかった。
『ロゼッタ、お土産だよ』
父親はアバルディアやその娘には贅を尽くしたお土産を渡すのに、ロゼッタには道端に咲いていた花を渡すような男だった。父親は、ロゼッタがそれを本気で喜ぶと思っていた。金はかけられずとも愛情は示せると――示していると勘違いしていたのだ。
もちろん、彼に自由にできるお金がないことは知っている。すべてアバルディアが手を引いていたことも、大人になった今なら理解できるのだ。
それでも、本当に愛していたなら、ロゼッタのためにできたことがあっただろうと言ってやりたい。――ロゼッタはトゥバルトへと向き直った。
「トゥバルト様にお伝えしたいことがあります」
いつになく真剣な表情のロゼッタにトゥバルトは少しだけ目を見開くと「ああ」と静かに相槌を打つ。
『ロゼッタ、お土産だよ』
父親はアバルディアやその娘には贅を尽くしたお土産を渡すのに、ロゼッタには道端に咲いていた花を渡すような男だった。父親は、ロゼッタがそれを本気で喜ぶと思っていた。金はかけられずとも愛情は示せると――示していると勘違いしていたのだ。
もちろん、彼に自由にできるお金がないことは知っている。すべてアバルディアが手を引いていたことも、大人になった今なら理解できるのだ。
それでも、本当に愛していたなら、ロゼッタのためにできたことがあっただろうと言ってやりたい。――ロゼッタはトゥバルトへと向き直った。
「トゥバルト様にお伝えしたいことがあります」
いつになく真剣な表情のロゼッタにトゥバルトは少しだけ目を見開くと「ああ」と静かに相槌を打つ。



