「遅かれ早かれ、アバルディアとは遭遇する運命だったのですわ。……いえ、あの方ならわたくしの結婚が決まったタイミングで、邪魔をするために自ら乗り込んで来たに違いありません。セリーナ殿下の侍女に採用されたときもそうでしたから」


 クロフォード伯爵家の家名と祖父母の尽力により、セリーナの侍女として働きはじめることが決まったロゼッタのもとに、アバルディアがやってきた。「ロゼッタに侍女など務まらない」「今すぐ辞めさせるように」と主張して。

 あのときは、すでに決まったことを撤回すれば伯爵家の名に傷がつくと色んな人が説得をして、渋々ではあったがアバルディアを領地に帰すことができた。

 アバルディアは簡単に入城ができない。だから、ここ数年は平和に過ごせていたのだが。


「殿下がわたくしを守っていてくださったのですね」


 アバルディアが王都にやってきた際には、ロゼッタが会わずに済むように裏から手を回してくれていたのだろう。だからこそ、ロゼッタはここまで平穏に婚活を楽しむことができた。昨夜の一件を通してロゼッタはそのことに気づいたのだ。