「わたくしのことを気にしてくださってありがとうございます。本当に、感謝しております」

「いや、今回のことは絶対的に俺が悪い。本来なら防げたはずの事故だったのに」

「隣国から帰国したばかりですもの。お仕事がたくさん山積みになっておりますでしょう? わたくしのことなど気に掛ける余裕はなくて当然ですし」

「俺がそうしたかったんだ!」


 クローヴィスはそう言って、悔しそうに顔を歪める。

 そういえば、隣国で告白を受けてから顔を合わせるのははじめてのことだ。昨夜の一件がなかったら、呼び出された時点でもっと身構えていただろうし、自然に話せはしなかっただろう。そう思うと、かえってよかったのかもしれないとロゼッタは思う。


「殿下、顔を上げてください」


 ロゼッタはそう言ってクローヴィスに微笑みかける。クローヴィスは今にも泣きそうな表情でロゼッタを見上げながら、コクリと小さくうなずいた。