「ならば、結果で示してみせます」


 ライノアはそう言って、ロゼッタの手を握り返した。手のひらが、瞳が、これまでにないほど力強い。ロゼッタが戸惑ってしまうほど――。


「ところで、隣国のお土産はどうしたんです? あれほど『差し上げる』とおっしゃっていたのに」

「え? ああ……」


 唐突に思わぬ話題を振られて、ロゼッタはハッと我に帰る。


「準備はしておりましたのよ? だけど、諸事情によりお渡しするのを差し控えようと思いまして」

「どうしてです?」


 ライノアが身を乗り出してきた。いつにない勢いに気圧されつつ、ロゼッタは必死に言葉を選ぶ。


「もしかして、クロエ嬢に遠慮をしたのですか?」

「あっ……と」


 そうしているうちに、ライノア自身がこたえにたどり着いてしまった。否定をするのも気が引けて、ロゼッタは「実はそうなの」と小さくうなずく。