婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

(わたくしは絶対、お金持ちと結婚する)


 こんな辛い思いはたくさんだ。絶対、二度としたくない。
 もしも父親がお金持ちだったら、ロゼッタはこんな目に遭わなかっただろう。口先では『ロゼッタのことを大切に思っている』と言いながらアバルディアから守れず、虐めを放置してきた父親のような人間なんてごめんだった。


 愛情なんて必要ない。あったところで意味がない。
 必要なのはお金だけ。
 お金さえあればすべてが可能になる。すべてが叶う。そう思ってロゼッタは今日まで生きてきた。
 現に、ウィルバートはロゼッタを追ってきてすらくれない。


(本当に、信じていいのはお金だけなのだわ)


 夜会会場から抜け出したロゼッタは、夜の庭園でひとり膝を抱えていた。心のどこかでウィルバートが来てくれるのではないかと願っていたが、すぐに「ありえない」と諦めてしまった。
 辛くて悲しくて、なんだかむしろ笑えてくる。