ロゼッタにとって何より辛かったのは、自分よりも年下の連れ子が、何不自由のないお嬢様としての生活を満喫している様子を間近で見ることだった。
 アバルディアはロゼッタの父親に自分の娘を可愛がるように強要したし、ロゼッタにはとことん冷たくするよう仕向けてきた。父親は時折アバルディアに見つからないようロゼッタに謝罪をしてきたが、結局は彼女の言いなりで、なんの意味もなさなかった。


(この世はお金が全てなんだわ)


 幼いロゼッタがそう思ってしまうのも仕方がない。


 数年経ってロゼッタは、事態を知った母方の祖父母に引き取られることになった。
 そこでようやく人並みの――貴族らしい生活を送れるようになったものの、実家で受けた屈辱的な対応とお金に対する劣等感は決して消えることはなかった。