婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

「アバルディア様、ロゼッタ嬢は素敵な女性ですよ。そのように言っては……」

「庇うのはよしてください。この娘は現に一言も聞けないまま、呆然と立ち尽くしているではありませんか。みっともない。ウィルバート様の隣に立つような資格はございませんわ」


 アバルディアはまるで虫けらでも見るような顔つきで、ロゼッタの肩を突き飛ばす。既に全身から力が抜けていたロゼッタは、その場に崩れ落ちてしまった。クスクス、クスクスと嘲るような笑い声がそこかしこから聞こえてくる。

 ふと顔を上げると、ウィルバートが困惑した表情でロゼッタのことを見つめていた。アバルディアの手前、強く庇うこともできないのだろう。それだけの影響力をアバルディアは持っている。特に、実業家のウィルバートに対しては……。