婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している！

「ウィルバート様、今夜はお誘いいただき、ありがとうございます」


　動揺を悟られないよう細心の注意を払いながら、ロゼッタはウィルバートのエスコートを受けて馬車に乗る。すると、ウィルバートは「こちらこそ」と目を細めた。


「ロゼッタ嬢と夜会に出席できるなんて、光栄だよ」

「ウィルバート様にそんなふうに言っていただけて嬉しいですわ……！」


　ロゼッタが頬を赤らめていると、ウィルバートはそっとロゼッタの髪を一筋掬った。


「本当に、今夜の君はこの世の誰より美しい。ドレスもお化粧も、よく似合っているよ。俺のために頑張ってくれたんだよね？」


　ウィルバートの言葉に、ロゼッタの胸がドキッと跳ねる。気障なリップサービスだとわかっていても、ときめかずにはいられない。


「――そうですわよっ」


　返事をしながら、ロゼッタは涙目になっていた。嬉しいやら恥ずかしいやら、そんな自分をどうすることもできずにいる。