「ほら、そろそろお迎えの時間でしょう? 頑張って! 幸運を祈ってるわ」

「……ありがとう」


 ロゼッタは何度目かの深呼吸をしてから、城の外へと向かった。


***


「こんばんは、ロゼッタ嬢」


 ウィルバートから声をかけられた瞬間、ロゼッタの心臓はそれまでと比べ物にならないほど高鳴った。


(ああ、なんて素敵なの……)


 今夜のために用意したであろう夜会服は最高級品なのはもちろんのこと、センスがよく、ウィルバートにとても似合っている。洗練された大人の男性とはかくあるべき、といった装いだった。