「だといいんだけど。あんまり油断してると足をすくわれますもの」


 ロゼッタはそう言って、首を小さく横に振る。


「お? ということは、これからもお相手探しを続けるってこと?」

「当然ですわ! 広い世界、ウィルバート様よりずっといい条件の方がいらっしゃるかもしれませんもの!」


 ロゼッタはグッと拳を握り、瞳に闘志を宿らせる。


「さすがロゼッタ! よくそんなにモチベーションが続くよね。私は最近、もう誰でもいいかも、なんて思うようになってきたなぁ」

「誰でもいい!? なんて愚かなことを! そんな態度では幸せを逃してしまいますわよ!」


 シュンと肩を落とすクロエをロゼッタはキッと睨みつける。


「そりゃあ、私がロゼッタと同じ十七歳ならそう思うのかもしれないけど、もう二十歳だし、選り好みをしていたら、いよいよ結婚できないかもしれないじゃない? うちの父がいい縁談を持ってきてくれるなんて期待はできないし」