「嘘つき。夜会に誘われたって、あんなに嬉しそうに話していたじゃない?」

「そ、そんなの当然ですわ! ウィルバート様は結婚相手に最適な男性なのですから、夜会に誘われて嬉しくない女性はおりませんもの」

「そうだね、そうだねぇ! 嬉しくて舞い上がっちゃうし、緊張もしちゃうよねぇ」


 揶揄するようなクロエの表情と言葉に、ロゼッタは一層ムッとする。クロエはクスクスと笑ってから「大丈夫よ」と目を細めた。


「今夜のロゼッタは最高に綺麗だから、自信を持って! ウィルバート様だってきっと、ますますロゼッタに夢中になっちゃうって」

「……そうかしら?」

「そうだよ」


 それでも、ロゼッタの胸はドキドキと鳴り続けているし、落ち着く感じがしない。