「――あたしもお父様と一緒に行きたかったな」
「……フローリア!」
トゥバルトはフローリアの元に駆け寄ると、フローリアを思いきり抱きしめる。
「寂しい思いをさせてすまなかった」
「……うん。寂しかった。あたしもお父様と一緒にお花を摘みたい」
「ああ、行こう。今度は一緒に。お父様と花を摘もう」
フローリアがトゥバルトの肩に顔を埋める。ロゼッタはそっと視線をそらした。
『ロゼッタ、寂しい思いをさせてすまなかった』
(――そうか。あの男は、わたくしにこういう反応を求めていたのね)
遠い昔に封印したはずの記憶が蘇ってくる。
視界の端に積まれたたくさんの贈り物たち。けれど、ロゼッタに渡されたのは金の全くかかっていない押し花の栞一つきりだった。
ロゼッタは栞を一つ手にとって、自虐的な笑みを浮かべる。
忌まわしい記憶のはずなのに、どうしてこんなものを用意してしまったんだろう? 考えながら、悔しさや悲しさで涙がじわりと滲んでくる。
「ロゼッタ様も、ありがとう」
と、フローリアがロゼッタの側にやってきて、とびきりの笑顔を見せてくれる。
「――どういたしまして」
必死に笑顔を取り繕ったものの、ロゼッタの手のひらに爪が強く食い込んだ。
「……フローリア!」
トゥバルトはフローリアの元に駆け寄ると、フローリアを思いきり抱きしめる。
「寂しい思いをさせてすまなかった」
「……うん。寂しかった。あたしもお父様と一緒にお花を摘みたい」
「ああ、行こう。今度は一緒に。お父様と花を摘もう」
フローリアがトゥバルトの肩に顔を埋める。ロゼッタはそっと視線をそらした。
『ロゼッタ、寂しい思いをさせてすまなかった』
(――そうか。あの男は、わたくしにこういう反応を求めていたのね)
遠い昔に封印したはずの記憶が蘇ってくる。
視界の端に積まれたたくさんの贈り物たち。けれど、ロゼッタに渡されたのは金の全くかかっていない押し花の栞一つきりだった。
ロゼッタは栞を一つ手にとって、自虐的な笑みを浮かべる。
忌まわしい記憶のはずなのに、どうしてこんなものを用意してしまったんだろう? 考えながら、悔しさや悲しさで涙がじわりと滲んでくる。
「ロゼッタ様も、ありがとう」
と、フローリアがロゼッタの側にやってきて、とびきりの笑顔を見せてくれる。
「――どういたしまして」
必死に笑顔を取り繕ったものの、ロゼッタの手のひらに爪が強く食い込んだ。



