(羨ましい)


 密かにそんなことを思いつつ、ロゼッタはトゥバルトと一緒にフローリアの部屋に入る。ソファに向かい合って座ると、早速お土産の開封がはじまった。


「これは?」

「綺麗だろう? これは、隣国でたくさん採れる宝石だよ」


 フローリアの髪色によく似た真っ赤な宝石のブローチ。これを身に着けると自分が別の誰かに変身できるのではないか――そんな乙女心と幼女心をおおいにあおる愛らしいデザインではあるが、お値段の方はちっとも可愛くない。ロゼッタの給金一年分がポンと飛ぶような代物である。


「ふぅん……」


 フローリアはしばらくブローチを手にとって眺めていたが、やがてそれをテーブルの上にぞんざいに置くと「次は?」と尋ねてきた。

 トゥバルトはそういった反応に慣れているらしく、笑顔で別の包みを開ける。
 ピンクのドレスにエナメル素材のピカピカの靴、大きなリボンが真ん中にあしらわれたバッグに、隣国で流行っている人形やお菓子等など――けれど、フローリアは特に喜ぶ様子なく、淡々と土産物もとい貢物を受け取っていた。