婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

 トゥバルトはすぐに屋敷の中を案内してくれた。大理石のエントランスからはじまり、応接室に通される。道すがら、視界をうろつかせないよう気をつけていたが、ロゼッタは興味津々だった。


(ああ、ここがわたくしの屋敷になったら……!)


 美しく、隅々まで洗練された空間についついうっとりしてしまう。内装は決して派手ではないものの、素材のひとつひとつが質が良く、本当に大事に手入れをされているのが伝わってくるし、見ているだけで背筋が伸びるような心地がする。成金が手を出しがちなゴテゴテした装飾や置物もないし、本当の金持ちとはかくや、という印象だ。


(トゥバルト様の妻になれれば、間違いなく幸せになれるでしょうね)


 先程から使用人たちがロゼッタのために一生懸命動いてくれている。主人の意を汲んでの行動ではあるが、若いロゼッタにもおそろしいほど丁寧に接してくれるし、心からもてなしてくれていると伝わってきた。

 それはつまり、トゥバルトがロゼッタを本気で自分の相手に、と思いはじめてくれているということなのだろう。ロゼッタはゴクリとつばを飲み込んだ。