「私の時間をどう使うかは、私が決めます。だから、ライノア様と過ごすこの時間は、もったいなくなんかありません。私にとってはすごく貴重で、幸せな時間なんです」

(クロエ……)


 なんて健気なんだろう。いつのまに、こんなにも気持ちが育っていたとは、さすがのロゼッタも思わなかった。


「そうですか」


 ライノアがそう返事をする。
 ロゼッタは彼のために用意したお土産をちらりと見た後、踵を返した。


(ライノア様にお土産を渡すのはやめにしましょう)


 それがいい――そう思いつつも、ロゼッタは少しだけ胸がモヤモヤするのだった。