「わ、私はロゼッタとは違って、ライノア様みたいな男性が理想ですし、素敵だと思います」
ふと、クロエが身を乗り出した。ライノアの腕にそっとボディタッチをし、潤んだ瞳で彼をじっと見つめている。――どうやら本気でライノアを落とすつもりのようだ。ロゼッタは知らず知らずのうちにゴクリと息を呑んだ。
(ライノア様はなんて返事をするのかしら?)
これまでライノアは、クロエから褒められてもサラリとお礼を言うだけだった。けれど、ここまであけすけにアプローチをされたら、さすがにクロエの意図がわかるだろう。……いや、これまでも気づいていて、躱していただけの可能性もあるのだが。
「――僕はあなたの理想の男性ではない、なりえないと思いますよ」
ややしてライノアがこたえる。クロエの表情がくもったのがわかった。
「そんなことないです」
「……いえ、僕は現状を変える気がない、いわばやる気のない男ですし、爵位もなければ大したお金もありません。僕程度の男はそのへんに山程転がっていますし、クロエ嬢の時間がもったいありませんよ」
やんわりとした拒絶の言葉。けれど、脈はないとはっきりわかる。
ふと、クロエが身を乗り出した。ライノアの腕にそっとボディタッチをし、潤んだ瞳で彼をじっと見つめている。――どうやら本気でライノアを落とすつもりのようだ。ロゼッタは知らず知らずのうちにゴクリと息を呑んだ。
(ライノア様はなんて返事をするのかしら?)
これまでライノアは、クロエから褒められてもサラリとお礼を言うだけだった。けれど、ここまであけすけにアプローチをされたら、さすがにクロエの意図がわかるだろう。……いや、これまでも気づいていて、躱していただけの可能性もあるのだが。
「――僕はあなたの理想の男性ではない、なりえないと思いますよ」
ややしてライノアがこたえる。クロエの表情がくもったのがわかった。
「そんなことないです」
「……いえ、僕は現状を変える気がない、いわばやる気のない男ですし、爵位もなければ大したお金もありません。僕程度の男はそのへんに山程転がっていますし、クロエ嬢の時間がもったいありませんよ」
やんわりとした拒絶の言葉。けれど、脈はないとはっきりわかる。



