(これはクロエに渡す分、それからこれは他の同僚たちに)


 なにかしていないと返事が来ないか気になって、ソワソワと落ち着きがなくなってしまう。たった今手紙を送ったばかりで、相手に届いてすらいないとわかっているにもかかわらず、だ。


(どうかしていますわ)


 何度振り払っても付きまとってくる邪念に、ロゼッタはイライラを募らせていく。
 ロゼッタは自分自身が嫌で嫌でたまらなかった。誰かに振り回される人生はごめんだし、カッコ悪いとすら思っている。それなのに、どう足掻いても心と体が思うように動いてくれない。手紙の返事を待たずに、会いに行きたいなんてことを思ってしまうのだ。


(ウィルバート様のバカ)


 ロゼッタはクッションを手繰り寄せて抱きしめると、ぎゅっと顔を埋めた。
 逆恨みも甚だしいが、こんなふうにロゼッタを変えてしまったウィルバートが憎い。

 隣国にいたときには、物理的に距離が離れすぎていたため、彼への気持ちが抑えられていた。けれど、いつでも会いに行ける、と思うと心が落ち着かない。他のことが考えられなくなってしまうし、見えなくなってしまうのだ。