婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

 決して、お相手が好きだからとか、恋愛感情によるものじゃないと自分自身に言い聞かせる。そうしないと、隣国でのあれこれを――クローヴィスからの本気の告白を思い出してモヤモヤしてしまうのだ。


 隣国からの帰り道、クローヴィスはむやみにロゼッタに絡んでこなかった。馬車で同乗を強いられることもなかったし、適度な距離が確保されていたと思う。
 あんな告白をしておいて――という気もしたが、ロゼッタとしては助かった。正直言って気まずいし、セリーナにも気を遣ってしまうからだ。


(わたくしは決して、恋愛感情で動いているわけではない)


 ロゼッタはクローヴィスや他の人間とは違う。
 ”彼”に会いたいと思ったのは、それが自分の幸せな未来につながると思ったからだ。ただ顔が見たいとか、声が聞きたいとか、そんなことは決して考えていない。

 けれど、文字を書くたびに手が震える。顔が熱くなっていく。ドキドキして心臓が痛くなる。――これは気の所為で済ませられるレベルではない。


 ロゼッタは手紙を送り終えると、荷物の整理をはじめた。