婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

 これまでにロゼッタの心が踊ったのは、美しいドレスに身を包んでいるとき、光り輝く宝石を身につけたとき、美味しくて最高品質の料理を食べたとき、高価な化粧品を惜しげもなく使い鏡に映る自分の顔を愛らしく仕上げられたとき……。
 けれど、どうしてそれらが嬉しいのだろう? どうして追い求めずにいられないのだろう。


(わたくしはただ、幸せになりたい)


 過去の自分ができなかったことを、欲しかったものを手に入れたい。そのためにはどうしてもお金が、ロゼッタの願いを叶えてくれる男性が必要だった。
 だから、男性からの愛情はいらない。ロゼッタも彼らを愛する必要なんてない。必要なのはお金だけ。お金さえあれば幸せになれるのだ。


(本当に?)


 頭の中で誰かがそう言うのが聞こえてくる。
 先程ランハートの話を聞いたせいだろうか? 恋愛感情なんて不要だと思うのに――それを否定しきれない自分がいる。