反対に、ロゼッタはいつも駆け引きばかりしているせいか、ストレートに感情をぶつけられることにとても弱い。どうしていいか、よくわからなくなっていた。


「国に帰ったら、娘にも会ってくれるだろうか?」

「え?」


 ロゼッタの頬が赤くなる。トゥバルトはそっと目を細めた。


「お土産を一緒に渡してほしいんだ。それから、フローリアにロゼッタ嬢を紹介したい」

「フローリア様にわたくしを紹介……! ええ、喜んで」


 これでまた一歩、金持ちの男性との結婚が近づいた。大好きなお金のことをこれでもかというほど想像し、驚きや戸惑いの感情を無理やり吹き飛ばす。
 そんなロゼッタを見つめながら、トゥバルトは満足そうに笑うのだった。