ロゼッタがトゥバルトを幸せだと思う理由――それは彼が、親なら子を愛すると純粋に信じているからに他ならない。
親なら全員、子どもを無条件にかわいがる。大切にする。幸せにしたいと願う――そんなことを思えるなんて、本当におめでたいとロゼッタは思う。
おめでたい――けれど、できるなら、そのまま真実を知らずにいたほうが絶対にいい。
「そんなに可愛いお嬢様がいらっしゃるなんて、本当に幸せだと思います」
「ああ、俺は世界で一番幸せだ。ほしいものはみんな持っている。情熱を持って取り組める仕事に、素晴らしい領地と領民。有用な使用人たちと、それから愛しい娘。けれど今は――他にも欲しいものができた」
「欲しいもの、ですか?」
ロゼッタが首を傾げると、トゥバルトはそっと身を屈める。それからロゼッタの前に跪き、恭しく手の甲に口付けた。
「ロゼッタ嬢を」
ドキッとロゼッタの胸が高鳴る。トゥバルトは目を細め「一曲踊ってくれるかい?」と尋ねてきた。ロゼッタはトゥバルトについて、ダンスホールへと移動する。それから、音楽に合わせてふたりで踊りはじめた。
親なら全員、子どもを無条件にかわいがる。大切にする。幸せにしたいと願う――そんなことを思えるなんて、本当におめでたいとロゼッタは思う。
おめでたい――けれど、できるなら、そのまま真実を知らずにいたほうが絶対にいい。
「そんなに可愛いお嬢様がいらっしゃるなんて、本当に幸せだと思います」
「ああ、俺は世界で一番幸せだ。ほしいものはみんな持っている。情熱を持って取り組める仕事に、素晴らしい領地と領民。有用な使用人たちと、それから愛しい娘。けれど今は――他にも欲しいものができた」
「欲しいもの、ですか?」
ロゼッタが首を傾げると、トゥバルトはそっと身を屈める。それからロゼッタの前に跪き、恭しく手の甲に口付けた。
「ロゼッタ嬢を」
ドキッとロゼッタの胸が高鳴る。トゥバルトは目を細め「一曲踊ってくれるかい?」と尋ねてきた。ロゼッタはトゥバルトについて、ダンスホールへと移動する。それから、音楽に合わせてふたりで踊りはじめた。



