「お飲み物をどうぞ」

「お名前を教えていただけませんか?」


 セリーナとライラの会話が弾んだ頃合いを見計らって、男性たちがロゼッタに声をかけてきた。若く、見目麗しい男性ばかりだ。


(なんだかとても新鮮だわ)


 自国の夜会では「はじめまして」の男性の数が少ないし、高嶺の花扱いされて、若い男性からはほとんど話しかけてもらえない。セリーナの侍女として出席をしているからこそ、今回は気軽に声をかけられたのだろう。夜会の目的は二国間の交流を深めることだから、声をかけなければむしろ失礼にあたるとすら思われていそうだ。


(楽しい)


 男性たちと会話を交わすロゼッタだったが、ジトッとした視線を感じてふと振り返る。クローヴィスだ。『楽しそうだね』と唇が動き、ロゼッタは思わずドキッとしてしまった。