「こんばんは、ロゼッタ嬢」

「トゥバルト様」


 トゥバルトから声をかけられた。今夜のトゥバルトは式典用の騎士服を身にまとっており、爽やかでとてもカッコいい。何より、胸元で輝く大きなダイヤのブローチが、彼の財力を物語っている。どうやら護衛としてではなく、パーティーに参加をするらしい。


「素敵ですわ……!」


 心からの称賛を浴びせると、トゥバルトは照れた様子で「ありがとう」とお礼を言った。


「クローヴィス殿下から聞いたよ。夜会に参加するそうだね」

「ええ。突然の話だったので、とても驚いてしまいました」


 ロゼッタはクスリと小さく笑う。トゥバルトはそっと目を細めると、ロゼッタの背後へと回り込んだ。


「あの……?」

「そのドレスはクローヴィス殿下からの贈り物だろう?」

「え、ええ。そうですが」


 ロゼッタが首を傾げる。とともに、首周りに冷たいチェーンの感触を覚え、ロゼッタは目を丸くした。