「ほらほら、早く支度をしなさい。ロゼッタと一緒に夜会に出席するのははじめてだから、結構――ううん、本当はかなり楽しみにしていたの」

「セリーナ殿下……」


 ロゼッタはキュンと胸をときめかせつつ、ドレスをぎゅっと抱きしめる。それから「ありがとうございます」と目を細めた。



 それから数十分後、ロゼッタは無事に準備を終えた。本来ならばもっと時間をかけるのだが、今回は急な話だったし、目的はセリーナを引き立たせることだから十分だ。プライベートならまだしも、公務のために来ているのに、他国の男性を相手に婚活をするのは難しい。


(もしかしたら、純粋に夜会を楽しめるのは今回がはじめてかもしれないわね……)


 ロゼッタはそんなことを考えながらクスリと笑う。
 自分の部屋からセリーナの部屋に戻ろうとしたそのときだ。