婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

「ええ、もちろん」

「それはよかった」


 満足気に笑うと、クローヴィスはロゼッタの頭をポンポンと撫でた。


「それじゃあ、会場で会えるのを楽しみにしてるよ」


 クローヴィスがセリーナの部屋を後にする。と同時に、セリーナが「へぇ……」と感嘆の声を上げた。


「お兄様って本当にロゼッタにベタ惚れなのね」

「どうしてそう思いますの?」


 ドレスを抱えながらセリーナのもとに戻ると、セリーナは「そのドレスよ」と指を指した。


「ロゼッタの良さを最大限に引き出すデザインになってるでしょう? ちゃんと見ていないと、このドレスは選べないと思うの。食事会の時に贈っていたピンクダイヤも、ロゼッタのために作られたってことがすぐにわかる一品だったし」

「そう……なのでしょうか?」


 お金を基準に動くロゼッタからすれば、クローヴィスの行動はよくわからないことだらけだ。本当に自分を好いてくれているのか、正直言って自信もない。
 もちろん、もらえるものはもらう主義だし、こんな機会をみすみす逃すロゼッタではないのだが。