「もしかして、あなたはクローヴィス殿下を慕っていらっしゃいますの?」

「なっ……!」


 どうやら図星らしい。ロゼッタはそっと目を細めた。


「なるほど、それでわたくしが気に入らないのですね?」

「別に、私はそんなこと……というか、主人を慕うのは当たり前のことじゃない?」

「まあ、そうですわね」


 それが親愛の情からくるものなのか、恋愛感情によるものなのか――その違いはとても大きい。目の前にいる侍女は十中八九、恋愛感情の方だろう。


「先程色々と助言をしてくださいましたから、わたくしからも一つ忠告をさせていただきますわ」

「な、なによ? クローヴィス殿下は自分に夢中だとでも言いたいわけ? 殿下にこのことを言いつけると……」

「そんなことはしませんわ」


 ロゼッタからすれば、侍女に絡まれることは面倒くさいだけで、嫌とか辛いという感情は一切ない。侍女は「だったらなによ?」と唇を尖らせた。